更新日:2024.09.27
教員メッセージ
「大学で学ぶ看護」 ~ 在宅・公衆衛生看護学とは ~
その人らしく、住み慣れた地域で暮らし続けることを支える看護
在宅看護では、地域の多様な場で療養する人々を対象として、必要な治療やケアが生活の場である地域の中で継続して行われ、対象の方が望む暮らしが、その人らしく送ることができるように支援することを学びます。
人口の急速な少子高齢化や疾病構造の変化は、医療システムに大きな変革をもたらしました。医療の目的は疾病の治癒・完治から、治し支える医療(生活の質を高める支援)に変換し、療養の場も医療機関だけでなく、自宅や施設などに広がっています。暮らしのある地域全体がケアの場になっています。
人の一生は、地域に生まれ、育ち、学び、働き、老い、やがて死を迎えます。病や障害などで医療機関に入院しても、治療という目的を終えたら、再び地域に戻ってきます。人々の生活の基盤は、地域の中にあり、たとえ病や障害があっても、住み慣れた地域の中で社会に参加し、住み慣れた環境で最期まで暮らしたいという思いがあります。
急速な高齢化の進行を踏まえ、国は2025(令和7年)をめどに「地域包括ケアシステム」の構築を推進しています。このシステムで大切なことは、どのような健康状態であっても、自分らしく地域で暮らし続けられるような支援体制を提供することにあります。地域の暮らしを守るために医療・福祉・介護に関わる専門職が介在し、お互い連携・協働しながら、対象の方たちに必要なケアを提供しています。その中で、特に看護師は、地域で生活する人の生命(健康)を守る重要な役割があります。
在宅看護では、看護の主役はあくまでも療養者と家族であり、生活の場での思いを尊重しながら、対象者の生活に合わせた看護を提供することを学びます。主な学びの場所は、地域の中に存在する訪問看護ステーションです。療養者のお宅に実際に訪問して在宅での看護を体験します。病院の中で行われる看護との違いや赤ちゃんから高齢者・多様な疾患や障害に対応し、住環境や地域の生活環境の調整を含んだ支援を行っていることが実感できると思います。